産業政策総合研究所
2026年2月25日

産業振興の支援手法

人的支援の類型について

本資料の目的

産業振興を図るには、国や自治体による戦略的な支援策の展開が不可欠である。

当然、今現在も、国や自治体において様々な支援策が展開されているが、それらの手法を整理し、状況に応じて適切なものを国や自治体の職員が選択し、予算化から実行・改善までをスムーズに行えるようにすることは、効率的な予算管理や効果の最大化にとって極めて重要である。

一方、支援策についての体系的な知識や理解がないままに立案しようとすると、本来行うべき支援に漏れが生じたり、狙った効果を生めなかったりする事態が生じることになる。

そこで本資料では、産業振興を図る行政の担当者が最適な支援策の企画立案・実行を行えるよう、“人的支援”という観点※で、手法やメリット・デメリットなどを整理した。

※行政が有する人的リソースを企業に提供するという観点。ハローワークにような人材紹介は、手法としては“マッチング”といったものであることから、本資料では記載していない。

本資料を活用し、解決すべき行政課題に対し、どのような手法が考えられるかを一つ一つ検証することで、まだ講じていなかった支援策の立案などを効果的・効率的に行えるようになると期待している。

人的支援に関する基本

通常、公益性・公平性の観点から、特定の企業の事業活動を支援する目的で、行政の職員等をその企業に勤務させることは困難である。

このため、企業に対する人的支援では、専門家の派遣などを通じて支援することが多い。また、人的支援は、特に効果の即効性が乏しいものが多い。

専門家対応

企業が抱える様々な課題に応じて、その分野の専門家が企業に対してアドバイス等を行うもの

アドバイス等は、支援拠点の窓口、企業の現場、オンラインなど様々な方法で提供可能

専門家に必要な費用については、企業に一定の割合を負担させることもあれば、行政が全てを負担することもある。

メリット
  • 多様な課題に対して一定のソリューションを提供可能
  • 予算化から支援開始まで比較的短時間で実行可能
デメリット
  • 小規模な自治体では、専門家の質・量両面で、確保が困難なことがある。
  • 対人関係による支援となることから、企業との関係性によっては、企業から否定的な反応を生じることもある。

共同研究・協働事業

協定などを締結した上で、行政と民間の人材が協力し、共同研究や共同事業を行うもの。

共同研究は、特に公設試験研究機関などで行われることが多い。

メリット
  • 人材・資金・情報・ノウハウといった互いのリソースを出し合うことで、行政や事業者が単独ではできない取組を進めることが可能
デメリット
  • 公平性の確保に留意することが必要。そのためには、協定等において、行政だけではなく、相手方の役割・負担を明確にしておくことが不可欠

官民人材交流

(特定の企業を支援する目的でなく)産業界に行政の知見を浸透させるとともに、行政にも民間の知見を蓄積するために、相互に人材を派遣するもの

メリット
  • 民間のリソース・柔軟性を利用し、特に強化したい分野に狙いを絞った振興が可能。行政よりも民間が強い分野(例:スタートアップ、金融業界など)で活用することで、大きな効果が期待できる。
デメリット
  • 公平性の確保への配慮が特に求められる
  • 交流後の人材の活用・育成を戦略的に行えない場合(例:交流先とは関係ない部署への短期間での異動等)は、行政側での効果が出ない可能性がある。

補足:人材確保・育成支援策について

本資料は、行政機関等が行う人的支援という手法をまとめたものである。

企業における人材の活用といった点では、従業員の確保や育成といった点があるが、これらに対する支援は、通常、専門家による採用方法・PRのアドバイス、人事制度構築に対するインセンティブの付与(例:育児休業等の整備による奨励金の支給など)、各種セミナーの開催といった“手法”で提供されることから、本資料では記載していない。

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